わたしの気づき

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今年も楽しかった京都グラフィーの復習 もくじ

毎年行っている「京都グラフィー」。オープニングの週末に行われるトークが毎年おもしろく、今年も参加するつもりだったのが、けっこう天候が悪く、大阪から出向くのも面倒くさかったのでパスしてしまった。

京都グラフィーのYouTubeチャンネルにその様子の動画があがっているので、興味のある方はチェックしてみてください。

昨年は浅田彰氏の「メープルソープ再考」がおもしろかった。

どの作品も素晴らしかったのですが、以下、個人的順位と感想です。 

 

No. 1.   ローレン・グリーンフィールド「GENERATION WEALTH」

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No. 2.   ギデオン・メンデル「Drowing World」

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No. 3.   ジャンポール・グード「So Far So Goude」

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No. 4.   ステファン・シェイムス「Power to the People」

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No. 5.   深瀬昌久「遊戯」

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No. 6.   アルベルト・ガルシア・アリックス「IRREDUCTIBLES」

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No. 7.   リウ・ボーリン「Liu Bolin × Ruinart」

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No. 8.   クロード・ディティヴォン「パリ五月革命ー夢みる現実」

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No. 9.   フランク・ホーヴァット写真展「Un moment d’une femme」

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No.10.  ロミュアル・ハズメ「On the Road to Porto Novo」

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No.11.   宮崎 いず美 「UP to ME」

No.12    小野 規 「COASTAL MOTIF」

No.13    森田 具海 「Sanrizuka -Then and Now-」

No.14    中川 幸夫 「俎上の華」

No.15    K-NARF  「THE HATARAKIMONO PROJECT」

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石元泰博 桂離宮のモダニズム

オットー・ネーベル展がメインで出かけた京都文化博物館で鑑賞した石元泰博氏の写真が意外によかった。

これらの作品は1953年から54年にかけて撮影されたもの。

作品の説明に、シカゴのニューバウハウスと言われるインスティテュート・オブ・デザインで写真技法を学んだとある。

桂離宮は訪れたことがないので、何とも言えないが、石元泰博氏のような視点で江戸時代に造られた日本家屋を捉えられる人は少ないのではないだろうか。

www.bunpaku.or.jp

今年も楽しかった京都グラフィーの復習 その11

以下、パスポートを買わなければパスしようかなと思っていた作品群。

 

No.11 宮崎 いず美 「UP to ME」

まあまあ、楽しめたけれど、展示会場の空間を使ってまで体験するべきものでもなく、Tumblrで十分かなと感じた。毎年、ポップなタイプの作品がこの会場に展示されているんだけれど、去年のトイレットペーパーという作家のほうが空間全体でだんぜん楽しめた。

モカワなものがこの作家のコンセプトなのかなと思うんだけれど、この「キモカワ」というのも「カワイイ」と同じく、日本独特の感性で、ゆえに海外メディアにうけたんだろうなと思います。

 

No.12 小野 規 「COASTAL MOTIF」

震災後の東北三県の沿岸部に総事業費約1兆円、高さ10メートル以上、総延長400キロメートルにおよぶ防潮堤が建設されていっている様子を写したもの。私は震災以降、ずっと、支援に行かれているかたの報告をSNS上で見てきているので、周知の事実だったけれど、この写真で初めて知った人も多かったのではないだろうか。

一時は「緑の防潮堤」などの案もあったはずだけれど、大部分がこんなコンクリートの塊で美しい沿岸部が覆われることになったのは悲しい。結局、今の日本の政治のありかたは大手建設業者が儲かる図式しかないように思える。

 

No.13 森田 具海 「Sanrizuka -Then and Now-」

三里塚(成田空港建設問題)に関しては数年前の京都グラフィーで、三里塚をずっと追ってこられた年配のエクスヒビターのかたに直接、お話をうかがって以来、三里塚の映画も何本か見てきた。子供のころ、テレビで見た三里塚闘争の様子は、農民の人達が反対しているというより、過激派が空港建設を妨害していて怖いというイメージを植え付けるものばかりだったように思う。その年配のエクスヒビターのかたに出会えたおかげで、実際は違ったということが知れたのは本当にいい出会いだった。

 映画「三里塚イカロス」が京都シネマで上映されているとの告知も会場にあって、良い展示だったと思う。

 

No.14 中川 幸夫 「俎上の華」

好みが分かれる作品。私はあまり好きではないな。毒々しい作品が、この展覧会のために替えられた両足院の黒い畳に映えて、独特の空間を創っていた。

空間としては素晴らしかった。

 

No.15 K-NARF  「THE HATARAKIMONO PROJECT」

東京在住フランス人作家の作品。日本の労働者の制服は外国人から見ると興味深く、その「ハタラキモノ」たちの姿が標本のようにきっちり写真におさめられている。

前回の京都グラフィーでこの作家さんとは少し、お話したんだけれど、「ハタラキモノ」的なところの真逆に位置しているようなユニークな人だった。

この作家、K-NARF のインスタグラムはおもしろいのでフォローをオススメします。

今年も楽しかった京都グラフィーの復習 その10

No.10. ロミュアル・ハズメ「On the Road to Porto Novo」

アフリカの作家。写真家というよりも現代美術のアーティスト。今も故郷のベナンで活動を続けている。作家の故郷の町の雑多な店先のパノラマ写真がアフリカに行ったことのない人には少し、疑似体験ができたのではないだろうか。

個人的には若いころ、マダガスカルに行ったことがあるので、あの舗装されていない赤土の道がなつかしく感じられた。ガソリンを運ぶ人たちの交通停滞もマダガスカルで体験したカオスを思い出した。日本やヨーロッパでの生活からは想像もできないことだらけだったなぁ。

 

会場は誉田屋源兵衛の黒蔵で外観は町屋に突然くっついている黒い塔のようなもの。中はおそらく漆喰の白壁。昨年、たまたま、誉田屋源兵衛のかたにうかがったことなので記憶が曖昧なのだが、ここは、誉田屋源兵衛が非常に成功していた時代に花火の見物など、遊興のために作られたそうだ。こんなセンスのいい建物を作るのはさすが誉田屋源兵衛だなと思う。

 

螺旋階段を上がっていったさきには、使い古した傘の作品が。ロミュアル・ハズメ氏は日本は花の多いところだと聞いていたが、街を歩いてみると、ほとんど花を見ない。そのかわりに傘が目についたので、その傘を花に見立てて作品を創ったとのこと。

私個人がマダガスカルに行ったときの印象も花はほとんど見なかったんで、ロミュアル・ハズメ氏も日本でたくさんの花を見ることを期待していたんだろうなぁ。

私がマダガスカルに行った時は乾季だったので、もちろん雨も降らず、傘をさしている人もいなかったけれど、もしかしたら傘はアフリカではけっこう珍しいものかもしれない。ヨーロッパやアメリカには傘はあるけど、日本ほど、皆、ささないし、柄のバリエーションも少ない。おそらく、ロミュアル・ハズメ氏には日本の傘は強烈な印象を残したんだろうなと、ふと、思う。

 

ロミュアル・ハズメ氏の作品が見られるロンドンのギャラリーのサイト。ほかにもアフリカ系作家のおもしろい作品が見られる。

http://www.octobergallery.co.uk/artists/hazoume/

 

 

今年も楽しかった京都グラフィーの復習 その9

No 9. フランク・ホーヴァット写真展「Un moment d’une femme」

烏丸御池の交差点近くに残っている古い酒問屋の町屋を利用したギャラリーが会場。無料だったし、たくさんの人が見に来ていた。

すてきな写真。フランク・ホーヴァットのウェブサイトで作品が見られる。

HORVATLAND

 

今年も楽しかった京都グラフィーの復習 その8

No.8. クロード・ディティヴォン「パリ五月革命ー夢みる現実」

この1968年5月に起こったパリ五月革命ベトナム戦争に端を発したもので、その後、政府の政策に不満な労働者を巻き込んでいったものだそうだけれど、最近のパリでも、数年前からのマクロン政権の政策に反対する大規模なデモが行われている。今年の5月のメーデーあたりで同じような暴動があったと報道されている。

1968年当時はフランス全土の労働者を巻き込んで1000万人規模のデモやストライキに発展していったそうだけれど、現在の政府に対する不満はどういう決着を迎えるのか。

AIに置き換わっていく労働も今後、多くなっていくだろうし、1968年と同じ方法論では解決に向かわないのではないのだろうか。マクロン政権はパリを第二のシリコンバレーにしていくような、ITスタートアップ支援を打ち出しているそうだし。それはそれでいいとは思うのですが。

このクロード・ディティヴォンの写真はサン・ミッシェル界隈が暴動の場と化している様子を生々しく写していて、作品としても素晴らしいもの。

クロード・ディティヴォンはフランスのアンジェにギャラリーがあり、そこでも作品が見れるようです。サイトに掲載されている写真を見ると他の題材のものも構図が素晴らしい。

Claude Dityvon | Découvrir

今年も楽しかった京都グラフィーの復習 その7

No.7. リウ・ボーリン「Liu Bolin × Ruinart」

ルーフトップ・バーのあるおしゃれな祇園のビルが会場。背景に溶け込むようにペインティングされたリウ・ボーリンのセルフィー写真群。すべての背景はシャンパーニュ・ブランドのルイナールのぶどう畑や醸造現場で撮られたもの。なんで、森村泰昌的な面白さは感じるけど、それ以上に何も思わなかった。

が、調べてみると、北京の自身のアトリエが政府によって一方的に破壊されたり、一方的に解雇された労働者であったり、そういった「見えなくされている人々」をテーマにしているという。

TEDのプレゼンテーションで、そのあたりの詳しい話を作家自身がされています。

 

www.ted.com