「私はあなたのニグロではない」を観て
この映画で初めて、ジェイムズ・ボールドウィンというアメリカ黒人作家を知った。
この映画は、このジェイムズ・ボールドウィンが語る形式でアメリカにおける黒人差別を描いたドキュメンタリーだ。
映画で語られる言葉のひとつひとつをボールドウィンの本、エッセイ、インタビュー、講演など、彼が実際に発言した言葉を使って構成されている。
ジェイムズ・ボールドウィンが作品を発表し始めた、1950~60年代、ドリス・デイなどに代表される夢のようなハリウッド映画の世界と、レイ・チャールズなどに代表される日々の生活の苦悩のリアリティに満ちた世界が、存在していたわけだが、「それらは決して交わることはない」と、この映画のなかで、ジェイムズ・ボールドウィンが語っていたのが印象に残った。知的で独特の視点をもった、もっと、日本でも紹介されてしかるべき作家だと思う。この作家の書いた本を読みたくなった。
映画の中で、ジェイムズ・ボールドウィンがアメリカ人のことを、「遠くの国に興味もない」と語っているが、私が個人的にアメリカ人にいだく感想も同じだ。
彼が活動していた当時から存在していた、本も読まない、芸術にも興味がない、野球とかテレビで見てれば幸せ的な白人アメリカ人が、今も存在し、そういった層がおもにトランプを支持しているのだろう。
差別を受ける側の黒人が非常に気高く知性的に見えるのに対して、差別する側の白人が非常に無知で反知性的でおろかに見える。
映画のラスト、「差別とは何か」を語るボールドウィンの、火のように熱く激しく、知性的で明瞭な名スピーチは、オバマ前大統領やマドンナらが演説で引用するなど、今なお困難と闘う人々の心を揺るがせ、深い感銘を与えている。
と、映画を観たあとに読んだ公式サイトの説明にあったが、正直、まったく覚えていない。ネットで検索するも見つからず。
もう一度、観るしかないのかしら。